寒天に関するQ&A

寒天ブームが起きてから、寒天の食べ方や寒天を利用したダイエットについて、
さまざまな情報があふれていますが、誤った情報も少なくありません。
じょうずにダイエットするために、また、なによりも寒天をおいしく食べるために、
正しく理解してほしい情報をとりあげました。

「かんてんレシピクラブ2」 (女子栄養大学出版部)より

 

Q1. かんてんをたくさん食べれば食べるほど、
ダイエット効果も大きくなりますか?

A. 寒天によるダイエット効果は、煮とかしてかためた寒天かんを食べることで満腹感が得られ、食べすぎを防ぐことによります。

ですから、寒天かんをおなかいっぱい食べて、ちゃんとした食事をとらなければ、もちろん急激に体重は減るでしょう。

でも、そんなダイエットは長続きしませんし、リバウンドしやすく、逆効果になります。
寒天は食物繊維以外の栄養価は少ないので、寒天だけ食べていたら栄養障害を起こして、
体がボロボロになってしまうこともいうまでもありません。

Q2. かんてんを食べすぎると脱水症状が起きて
命の危険があると聞きました。本当ですか?

A. 寒天を食べて脱水症状が起こることはありません。
寒天は100~250倍の水を抱えてかたまるから、体内に入ると100~250倍の水を吸って脱水症状を起こす危険がある——-といった情報がTVなどで流されました。
しかし、寒天が100~250倍の水をかためるには、最低2分、80度前後で煮とかさなければなりません。

寒天を食べて胃や腸の中で水分と混じっても、体内で80度で煮えないかぎり、100~250倍の水を吸ってかたまるはずはありません。

また、いうまでもないことですが、一度煮とけてかたまった寒天かんを食べて、体内でさらに水分を吸うこともあり得ません。

Q3. かんてんかんを作る暇がありません。
かんてん茶がダイエットにいいのなら、代わりに、
粉かんてんを水といっしょに飲んでもいいのでは?

A. Q1の回答でも書いたように、寒天のダイエット効果は、エネルギーの少ない寒天かんのかたまりが満腹感をもたらし、高エネルギー料理の食べすぎを防ぎ、血糖値の上昇をゆるやかにするからです。

粉寒天をとかさずに水で流し込んでもそうした効果は得られません。
ちなみに、寒天茶がお茶のようにさらさらと飲める濃度なら、胃の通過時間が早いので、満腹感を得たり血糖値の上昇をゆるやかにする作用はあまり期待できないでしょう。

Q4. あるTV番組で、かんてんを食べると食物繊維の働きで
腸が活発に動き、基礎代謝量がアップすると言っていました。
ほんとうですか?

A. 基礎代謝というのは、人が体温を保ち、呼吸をしたり臓器が動いたり細胞が新陳代謝をするために必要な最低限のエネルギー量です。

基礎代謝量は長期的には、年齢や体の大きさ、季節などでも変化します。
日常的にも細かく変動して、運動して筋肉が緊張したり体温が上がれば、一時的に高くなります。
ですから、食後、腸のぜん動運動によって一時的に基礎代謝が上がることが、ないとはいえません。

でも、これまでそうしたことを科学的に実証する臨床研究などは発表されていないはずです。
またもし、一時的に基礎代謝が高まっても、それがダイエット効果をもたらすとは、常識的に考えにくいといえます。

腸のぜん動運動がダイエット効果をもたらすなら、大食漢ほどやせていいはず。
相撲の力士はみなスリムになるはずだからです。

Q5. かんてんを食べると肌がきれいになると聞きました。本当ですか?

A. その可能性は大いにあるでしょう。
寒天に含まれる食物繊維が便秘を改善することは、これまで多くの臨床研究が明らかにしています。

便秘はさまざまな有害物質の再吸収を招き、ニキビや吹き出物、肌あれの原因になります。
ですから、寒天を食べて便秘が改善すれば、肌がきれいになる効果は大いにあります。
さらに、寒天は免疫力もアップさせます。
寒天の食物繊維は腸内で分解されてアガロオリゴ糖を生成します。
これが腸内のビフィズス菌などの有用菌のエサとなって腸内細菌のバランスをととのえるので、
免疫力が高まります。

その結果、有用菌がエネルギー代謝に欠かせないビタミンB群を合成する働きが活発になるので、ひいてはダイエット効果があると考えられています。
まさにこの「体の中からキレイになる」メカニズムで、寒天はダイエットにも美肌にも効果があるのです。

Q6. 一度固めたかんてんを、もう一度温めて流しても、固まりますか?

A. だいじょうぶです。
ただし、必ずもう一度、沸騰するまで温めて、一度ゲル化した寒天をバラバラにほぐすことがポイントです。
これを守れば、数回くり返しても固まります。

Q7. かんてんを煮溶かすのに、沸騰後、弱火で2分とありますが、
けっこう長いので待ちきれません。
煮る時間が短くなるとどうなりますか?長すぎた場合はどうですか?

A. 煮る時間が短いと、寒天が充分に溶けないので、かたまりにくくなります。
寒天が全部溶けて透明な液体になるまで、寒天の量の多少にかかわらず2分は煮る必要があります。

火加減にも注意が必要です。
沸騰後2分煮る時の火加減は「弱火」と表記していますが、これは「表面にフツフツと小さな泡立ちができて静かに煮立つ程度の火加減」です。

まったく煮立たないようなごく弱火で煮たのでは充分に溶けません。
逆に、長く煮すぎた場合は、ほとんど問題はありません。
ゼラチンは煮すぎると凝固力が低下しますが、寒天にはそうした性質はなく、2分以上煮てもだいじょうぶです。

なお、煮る時間は寒天を水につけてもどす時間とも関係します。
角寒天は30分、細寒天は1時間以上、水につけてもどしますが、この時間が足りないと煮る時間を長くしないときれいにとけません。

逆に、水につけて戻す時間が長ければ、煮る時間を短縮してもだいじょうぶです。

Q8. かんてんを煮溶かすのに、電子レンジを使ってもいいですか?

A. 電子レンジ加熱でも、寒天を煮溶かすことができます。
ただし、とけるにしたがって内部からとろみがつくので、W数が大きすぎたり加熱温度が長すぎたりして少しでも加熱しすぎるとふきこぼれてしまい、形が悪くなったりきめがあらくなったりするので、細心の注意が必要です。

なべで直火で煮溶かすほうが、失敗がありません。

Q9. 粉かんてんを入れたカレーやハンバーグ、クリームソースかんなどは冷凍できますか?

A. 冷凍してもだいじょうぶです。
ただし、カレーやクリームソースかんはとろみがあるので、電子レンジで解凍しないほうが安心。
なべに入れて再度沸騰させ、室温においてカレーなら軽くとろみがついたところで食卓に。
クリームソースかんは再度、かたまるのを待ってから使います。
ハンバーグは電子レンジで解凍してもだいじょうぶですし、室温でもどしてから、フライパンで温めてもかまいません。